モントリオールに来てみてどうだった?- (1)

「人種のるつぼ」モントリオール

私がカナダ・モントリオールにやってきたのは、かなり「突然」(前回の記事参照)ではあったものの、実際に来てみてみると、意外と「あれ、モントリオールって、私が求めていた場所かも…」と感じることがある。結婚するまで海外生活すらしたことがなかった割には、中学生の頃の夢は「世界中に友達を作ること」と、壮大であった私。大人になるにつれて、そんな夢を持っていたこと自体も忘れかけていたが、モントリオールに来てみて、それが可能な都市がまさにモントリオールであることを感じる。

日本にいると、違う人種の人を見かけると「外国人だ」なんて思ってしまいがちだが、ここモントリオールでは、もはや誰が外国人なのか分からない。アジア、アフリカ、ヨーロッパ、中東…本当に、世界中からの移民で溢れている。モントリオールで地下鉄に乗って車両内をぐるーっと見渡すと、実に色んな人種が同じ空間にいることに驚く。また、移民になった後、数年すればカナダの市民権を申請できることから、いわゆる「カナダ人」になることも、そこまで難しくはない。

例えば、私がモントリオールで通っていた職業訓練学校の先生。「生まれはパキスタンだけど、●十年前にカナダに移民してきて、今はもうカナダ人になったよ。でも、パキスタンの人が多い地域に住んでいるから、普段街では母国語を使うことが多いんだよね」…こんなようなパターンの人が、少なくない。(ちなみに、私はIT系のコースを受講していたこともあり、大半は東ヨーロッパ系かインド・パキスタン系の講師だった。唯一、フランス語での顧客対応の授業だけ、地元出身のケベコワ講師だった)

大抵上記のような家庭の子供たちは、カナダで生まれてカナダで育つ「2世」だ。両親の言葉を話せる場合も多いので、英仏バイリンガルシティであるモントリオールで育つと、英語+フランス語+両親の言葉で「トリリンガル」となる人も珍しくない。日本で3ヵ国語も話せるなんて言ったら驚きだが、ここでは以外と普通だ。大人になってからここに定住しようと英語+フランス語に苦しむことも多いが (汗)、子供の言語教育の面から言えば、かなり恵まれた環境あるように感じる。

また、モントリオールに住んで20年以上になる知人のアパートを訪問した時のこと。ん…?? このアパート、色んな匂いがする (笑)。友人の部屋にたどり着く途中で扉が開いて、「あのスパイスの香りは…今のお宅はおそらくインドね」なんて、香りで出身国を予測できるようになっている友人にも驚いたが、同じ生活圏内に多文化が共存し、「お隣さん」として暮らしていること自体が、30年以上日本という島国に住んできた私にとっては、良い意味でカルチャーショックであった。

逞しい日本の隣人たち

そんな世界中からの移民が集まるモントリオールで、日本人として親近感を持ちやすいのは、やはり韓国と中国だ。見た目はもちろんほぼ同じだし、言語的にも文化的にも、共有できる部分がやはり多いと感じる。韓国で生活していた時は、「何て近くて遠い国・韓国なんだ…」と感じることが多かったが、モントリオールでは同じ外国人という立場であり、「同志」のように感じることさえあるから不思議である (笑)。しかし、比較的ひっそりと暮らしている日本人とは異なり、大陸人たちはかなり逞しい。

まず、中国人。本国からかなり離れた位置にあるにも関わらず、モントリオールの街中で中国語を耳にしない日はない。レストランの店主やアパートの家主が中国人ということはよくあるし、実際、モントリオールの日本食レストランのオーナーは大抵中国人か韓国人だ。また、ある銀行のATM機では、中国語が選べるようになっている所もあるというから驚く。私は留学関係の仕事をしていることもあり、地元の学校とやり取りすることが多いのだが、どの学校にも大抵中国人の担当者がいる。

先日、フランス語の教育委員会を訪問する機会があったのだが、留学生担当チームの一員として私に学校紹介をしてくれたのが中国人の女性だった。彼女は英語はもちろん、フランス語で仕事を十分にこなせるほどフランス語もペラペラ。モントリオールでの就職活動を経験し、やっぱりフランス語がもうちょっと話せないと厳しいな~~と実感していた私からすると、本当に堂々としていてカッコよく見えた。モントリオールで存在感が大きい民族は、やはり、実力もそれなりに伴っているのである。

韓国人とは、仕事柄接する機会が多いのだが、彼らのメンタリティには本当に驚かされる。韓国人が教育熱心なことは日本でも知られていると思うが、彼らは子供の教育のために、例え英語もフランス語も満足に話せなかったとしても、モントリオールに移民しにやって来るのだ。いい意味で、「ああなったらどうしよう…」とあまり深く考えすぎずに行動する。それ以上に「やるんだ!やれる!」という決意を持ってやって来る。やはり、私の夫が特別変わっているというワケではないようだ (笑:前回記事参照)。

日本人にはない点で、中国人と韓国人に共通しているのは、すごく「距離が近い」ということだ。色々熱心に情報を教えてくれたり、初対面なのに「困ったら私に連絡して!」「食事をごちそうするよ」と言われたり、韓国人のおばちゃんに至っては腕を組んできたりする (笑)。「私、何か騙されるんじゃないか…」なんて思ってしまうこともあるが、親切だけど一線距離を保とうとする日本人とは異なり、感情に正直で、主体的で交渉上手 (引かないタフさ…?) な部分は、素直に見習いたいと感じる部分である。

戸惑った文化

様々な文化を受け入れてきた移民大国カナダなだけあり、日本ではあまり受け入れられていないようなことも、「社会的にアリ」な状態になっていることがある。それが良いのか悪いのかは置いておくとして、私自身が少し戸惑った文化としていくつかご紹介したい。これから私自身がここに定着し、いずれ子育てもしていくことを想像すると…どう付き合っていったら良いのか、正直考えてしまう内容たちだ。

まずは、家庭の在り方について。日本でも、近年離再婚は増えてきているが、カナダでは「離婚するくらいなら結婚しなくてもいいじゃないか」ということで、籍を入れずに家庭生活を続けるカップルが多くいる。しかも、子供もしっかりいたりする。このようなカップルは「Common Law」カップルと呼ばれ、法的にもカップルと同じような扱いを受ける。確かにこのような文化圏で育てば、「結婚する意味って何?」となるのも不思議ではないし、私自身も改めて結婚の意義を考えさせられる。

また、同性愛者も比較的受け入れられている国だ。日本では同性婚といったら、まだまだニュースになるような話題だが、ここでは私のルームメイトが「親族の同性婚式に参加してきたよ~」といって写真を見せてくれるくらい、割と普通になってきているようだ。レインボーフラッグもよく見かけるし、教育分野においてもLGBTであることを隠さずに働いている人がいる。日本で、あまりこういった文化に触れてこなかった身としては戸惑ってしまうこともあるが、まずは知ることからかな?と思っている。

そして、最近カナダで合法になった「マリファナ」。日本ではマリファナの所持・使用は違法なことから、日本国籍を持った者がマリファナに関わることは要注意だが、モントリオールでは既にかなり生活に身近なところに存在している。私は、最初マリファナの匂いを知らなかったのだが、後々、よく街で嗅ぐ「タバコの匂いの一種かな~」と思っていたものがマリファナの匂いだと知った時には驚愕した…。マリファナ合法化に関しては、カナダ国内でも不安視する声が多いようで、今後の動向が注目されている。

カナダは多様性を受け入れてきた国であり、それが大きな魅力の一つだ。

ただその分、自分は何を大切にして生きていきたいのか、自分の中にしっかりとした「信念」を持つことが重要だと感じる。次回は、隣国アメリカとの違いにも触れながら、引き続きカナダ・モントリオールについてご紹介していきたい。

この記事を書いた人

Miyuki Yamamoto
Miyuki Yamamoto
慶應義塾大学SFCを卒業後、広告クリエイターとして勤務。その後、ライターとしての活動を始める。突然、カナダ移民にチャレンジすることになり、現在、モントリオールで英・仏・韓・日の4ヵ国語を使う生活に奮闘中。

ABOUTこの記事をかいた人

Miyuki Yamamoto

慶應義塾大学SFCを卒業後、広告クリエイターとして勤務。その後、ライターとしての活動を始める。突然、カナダ移民にチャレンジすることになり、現在、モントリオールで英・仏・韓・日の4ヵ国語を使う生活に奮闘中。