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長期海外に滞在する際は予防接種など受けていきますか?「そんなの心配ない!」「なんとかなる!」「長期って言っても、そんな短期間にかからないと思う。」などなまり身近な危険だと認識しないと思います。作者は6ヵ月間のフィリピン滞在中に2度も「デング熱」にかかりました。一緒に滞在していた多くの日本人も仲良く感染して、みんなそろって病院生活を過ごしていました。最近韓国で話題になった「MERSコロナウィルス」も誰もが記憶に新しいです。この時国内でもあらゆるチャンネルが症状や対処啓発などの報道を行っていました。他にも狂犬病やエボラ出血熱、鳥インフルエンザ、マラリア等一度は耳にしたことがあるでしょう。

このような感染症や病気は決して遠い地だけで起こっているわけではありません。そこで今回は、最近ニュースでも耳にする「ジカ熱」について、各国政府・メディアなどの報道から見る、各動きを流れに沿ってご紹介したいと思います。

この記事を読むと、世界規模の感染症の広がりや国の対応などを知ることができ、自身が外国に入国する際の判断材料や事前危機管理のための情報収集するお役に立てると思います。

まず、ジカ熱について知っていきましょう。

どのような症状が出るの?

主として軽度の発熱(<38.5℃)、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感などを呈する者(一般的にデング熱、チクングニア熱より軽症だが、血小板減少などが認められる場合もある)潜伏期間はおよそ3日~7日や、12日と発表していて機関によって様々です。(厚生労働省・国際感染症センター・国立感染症研究所 共通)

「治療薬はありますか?」という問いに厚生労働省は、「ジカウイルスに対する特有の薬は見つかっておりません。対症療法となります。」との返答のみです。

他にも、「予防接種はありますか?」に対して、「ジカウイルス感染症に有効なワクチンはありません。」

気になる「どのように予防すればよいですか?」の返答は、「海外の流行地にでかける際は、蚊に刺されないように注意しましょう。長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また蚊の忌避剤なども現地では利用されています。近年、ブラジルにおいて小頭症の新生児が増えており、ジカウイルスとの関連が示唆されています。このため、妊婦の方の流行地への渡航を控えた方がよいとされています。やむを得ず渡航する場合は、主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策を講じることが必要です。」とのことです。(厚生労働省より)

感染経路は?そもそも発症地は?

感染経路はデング熱と同様に、ウイルスに感染した媒介蚊の吸血によりヒトへ感染します。ジカ熱の流行国地域は2016/1/ 15 現在で、ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、スリナム、ベネズエラなど報告され、その後中南米を中心にこれまでに32の国と地域で感染が確認されています。

ちなみに、日本国内で感染した症例はありませんが、2年前に海外渡航中に潜伏感染し、帰国後に発症した症例が、3件ほど国内で見つかっています。当時の情報紙でも以下の通り取り扱われました。

「フランス領ポリネシア・ボラボラ島帰国後にZika feverと診断された日本人旅行者の2例」~IASR(2014年2月号):男性(27歳)、女性(33歳)
Two Cases of Zika Fever Imported from French Polynesia to Japan, December 2013 to January 2014(Eurosurveillance, 2014/1/30)

「タイ・サムイ島から帰国後にジカ熱と診断された日本人旅行者の1例」~IASR(2014年10月号):男性(41歳)
Zika fever imported from Thailand to Japan, and diagnosed by PCR in the urines
(Journal of Travel Medicine, 2016/1/18)

過去のジカ熱と、今のジカ熱

ジカ熱は、フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによる蚊媒介感染症です。初期、2007年にはミクロネシア連邦のヤップ島での流行し、2013年にはフランス領で約1万人の感染が報告された記録があります。2014年にはチリのイースター島、2015年にはブラジルおよびコロンビアを含む南アメリカ大陸での流行が発生し、地理的な拡大を見せています。(国立感染症研究所より)

(写真:ジカウイルス。米疾病対策センター提供)

2015/7にはブラジル、2016/12にはエルサルバドルからも感染者の報告があり、ジカウイルス感染とギラン・バレー症候群との関連が疑われ始めました。特にブラジルでは2015/11/17、胎児が小頭症と確認された妊婦の羊水からジカウイルス遺伝子が検出され、2015/11/28には出産後まもなく死亡した小頭症の新生児の血液および組織からジカウイルス遺伝子が検出されとのことです。

その後、ブラジル保健省(Ministério da Saúde)はジカウイルス感染と小頭症の流行に関連があると発表しました。この時、過去に原因不明の死を迎えた小頭症の胎児がジカ熱を原因とすることが結びついたとのことです。それから2015/10から2016/1までの間に3,530人の小頭症症例が報告されています。以下はWHOのコメントです。
「WHO ~ statement on the first meeting of the International Health Regulations (2005) (IHR 2005) Emergency Committee on Zika virus and observed increase in neurological disorders and neonatal malformations」より

その後の各機関の対応は?

これらを受けて、2016/1/15米国CDCは、より詳細な調査結果が得られるまでは現在流行している14か国への妊婦の渡航を控えるように警告を発しました。「Centers for Disease Control and Prevention 通称CDC」Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)2016/1/22より

NIID国立感染症研究所では、2016/1/20には遺伝子レベルや感染株の特定まで発表しています。実にアカデミックな研究所ならではの迅速な情報発信です。(NIID国立感染症研究所「ジカウイルス感染症(ジカ熱)のリスクアセスメント」2016/1/26より)

2016/1/21厚生労働省から「ジカ熱に関する情報提供及び協力依頼について」という文書が各検疫所と自治体・医療機関向けに発信されたようです。(厚生労働省「ジカウイルス感染症について」~2016/1/21掲載より)

また、過去の情報を元にこの時点でQ&A形式で分かりやすい一般者向けに情報配信をしています。このページは簡略な説明を用い、非常に読みやすくのでぜひ一度目を通しておいても損はないと思います。
「ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて」2016/1/21

「国際感染症センター国際感染症対策室」は、2016/1/26には海外メディアや報道を媒体により情報を集め、過去の事例や研究内容を挙げつつ専門的なアプローチをとっているのが印象的です。

外務省が発信する渡航状況の是非を検討する材料として提供する「海外安全ホームページ」では、「中南米地域におけるジカ熱の発生(妊娠予定及び妊婦の方は特にご注意ください。)~2016/1/26~」を喚起し、その後同年2/4には重要度を落としても問題はないだろうと判断でしょうか、掲載を失効させています。

外務省海外安全ホームページ TOP

ここで、WHO(世界保健機関)は2016/2/1、ブラジル等中南米を中心に感染が拡大している「ジカ熱」につき、専門家による緊急委員会を開き、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)を宣言しました。

写真:NHKnewsWEBより

参考までに、各政府レベルでの情報が飽和状態になったのか2016/2/6頃にはNaverまとめなどにはある程度まとまった情報が挙がってきました。情報に落ち着きが見え始めた時期だと思います。
参考:「気を付けたい!感染拡大を懸念される「ジカ熱」とは?2016/2/6」

一方、新聞社の報道では、毎日新聞が2015/12/28に一件患者急増のHP掲載をしたのみ、その後2016/1末から、特に2/1~2/5に掛けては同日に複数件アップしています。

日本の出入り口(=空港)では、WHOの助言を経て、帰国空港でのサーモグラフィー検査、問診などが行われ、帰国後4週間の献血見合わせなど対策を報じてます。

特に4週間の献血見合わせのかじを切った見解は、国立感染症研究所の高崎智彦室長より「ジカ熱と同じ仲間のウエストナイル熱やデング熱などのウイルスは、熱が下がって1週間ほどたてば血液中からは検出できなくなる。ジカウイルスについては科学的な証明はないが、同じ仲間のウイルスなので4週間もの間隔を空ければ安全だと考えられる」(2016/2/5 NHKnewsWEBより)と言及しています。

最後に日本リスクマネジメント社からは2/6に渡航者向けに、以下のような予防対策の情報を配信しています。

予防対策:
① 外出時には、長袖・長ズボン等を着用して肌の露出を控える。
② 蚊取り線香(日本製)・殺虫剤・防虫スプレー(欧米製)・蚊帳等を効果的に使用する。
③ 規則正しい生活と十分な睡眠・栄養をとることで抵抗力をつける。
④ 蚊の繁殖を防ぐために、タイヤやバケツなどを野外に放置せず、植木の水受け、排水路 や排水溝の水溜りを除去する。
⑤ 宿泊に際しては、網戸やエアコンなどの整備されたホテル等を利用する。

今回の場合、訪問をお勧めする情報収集源は、
○厚生労働省
○海外安全ホームページ
○WHO(世界保健機関)
○各研究機関(今回は国際感染症センターや、国立感染症研究所など)
○発症地近隣国のメディア等

まとめると…

この動きを見ると、2015/11/28にブラジルで出生時が死亡した事実に、隣国米国のCDCと外務省が1/15に注意喚起を促し、1/21~1/26頃に各国政府や専門研究機関で分析がされ、やっと2/1にWHOが世界各国へ向け正式に緊急事態宣言を出しています。この宣言を持って、各報道機関が活発に動いているという各機関の動きが読み取れます。

ここまで読んでいただいた中で鋭い方はうっすらと感じているかもしれませんが、

発祥国での注意宣言や注意喚起を受けて、国家をまたぐ国際機関(本案件は管轄のWHOが主)が世界レベルなのかどうかを精査し、大手報道機関(今回はCDCなど)に注意を促す。国・政府はこれと並行し、国内外でどのような対策をできるのか・自国との関係性を研究機関の見解を参考に検討し、国民や国内報道機関へ、情報提供とともに啓蒙を促す。。。それについてメディアや評論家の口から私たちの耳に入る。

…といった流れが読み取れるかと思います。今回のケースはジカ熱を題材にしたため、必ずしもこの流れが適応されるかはCase by Caseですが、大きな流れは共通する部分が多く見られます。

いかがでしょうか。このように情報のリソースを日付と共に追うことや、政府レベル/研究所レベル/メディア・民間報道レベル/個人レベルを分割して考えると、「情報の流れ」や「信憑性」を自身でキャッチ&ジャッチできるかと思います。

人の話をうのみにするのではなく、より客観的で、より信憑性の高い情報を収集する能力は旅行や留学時だけではなく、これからの生活を手助けしてくれる力強い味方になります。

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