フィリピンでコーヒー栽培?アジアコーヒー市場の可能性とは。

19年前にフィリピンに移住され、2001年から環境関連の非政府組織(NGO)、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)を立ち上げられた反町眞理子さんのインタビュー記事です。3回シリーズの第2回目の記事となります。今回は、フィリピンでなぜコーヒーを育てているのかがテーマになります。

–バギオでコーヒー豆も作られているそうすが、外国への販売はしていないのでしょうか?

しています。今年(2015年)は日本に、バギオで育てた4トンのコーヒー豆を卸しました。1トンは、わかちあいプロジェクトというフェアトレード団体。残り3トンは関西のフェアトレード・ショップシサム工房へと卸しました。

コーヒーの木は収穫がちゃんとできるようになるまで、苗木を植えてから最低でも5年はかかります。収穫した赤い実を、日本で販売できる品質まで上げるためには、かなり気を使って加工をして生豆に仕上げなくてはなりません。その部分の教育なども含めると結局10年前に植えた木が、今ようやく輸出できる生豆になったと言えます。

コーヒーの赤い豆

コーヒーの赤い実

きちんとした値段で農家から買ってあげないと彼らの生活の向上に結びつかないので、日本のフェアトレード関係のグループと協力して日本での販売を開始することにしました。現在は、ざっと100人くらいの農家さん達から仕入れています。

意外に1本の木から焙煎まですると少ない量しか取れません。また、農家さんは運搬の手段を持っていないのでトラックで買い付けに行かないといけないですし、現金で買い付けないといけません。ですので、4トンのコーヒー豆を集めるだけでも相当苦労しました。

–そうなんですね。逆にフィリピン国内でコーヒー豆は売れないのでしょうか?

フィリピンは今、数年前から空前のコーヒーブームです!!最近は、スターバックスも入ってきてコーヒーという飲み物がおしゃれな飲み物と認知され始めてきて、ブームになってきました。また、マニラを中心に淹れたコーヒーを出すおしゃれなカフェがどんどんできています。

しかし、まだフィリピンではコーヒー豆の品質に関する知識がなく、豆の良しあしを評価できる人材もいないため、サアンチにも訳のわからないバイヤーが来て、よい豆も悪い豆も一色単に、国際的な取引価格にそぐわない高い値段で買い付けていきます。

私たちは将来的にフィリピンのコーヒーは世界市場に広がっていくことを目標としていますので、豆の国際的な品質基準に即した価格設定をしていますが、国内市場がそんな感じのため、良い豆の買い付けは大変です。

国内市場も近い将来には成熟していくでしょうから、そのときがフィリピン国内でのビジネスチャンスだと思いますし、国内市場で正しいコーヒー品質の知識を広め、それにあった価格での取引が広がるように牽引的な役割も果たしていきたいとも思っています。

 

–コーヒーは赤道線沿いの国でよく取れるイメージがあるのですが、フィリピンはコーヒー豆の栽培に適している国なのでしょうか?

世界中のレギュラーコーヒーと言われるものはアラビカコーヒーです。この豆は、標高が高いところでしか栽培できません。標高700メートル以上は必要です。高ければ高いほど美味しくなるともいわれています。ですから、標高1500メール以上のバギオとその奥に広がる山岳地帯はコーヒー作りに向いています。フィリピンだと、他にもミンダナオのブキドゥノンという地域でも栽培しています。

 

ご存知でない方も多いのですが、実はコーヒー大国ブラジルのコーヒー豆の輸出量が年々減少しています。(世界のコーヒー

今までのブラジルはコーヒーを輸出ばかりしていて、ブラジル人はあまりコーヒーを飲みませんでした。彼らの暮らしが豊かになっていくことで、飲まなかったコーヒーを現地人も飲むようになってきました。つまり、産出量は変わっていないのですが、輸出量が減ってきていますです。

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–なるほど。そういう流れもありつつ、ベトナムやインドネシアといった国々でもコーヒーをたくさん作るようになったのかもしれませんね。

 

そうですね。さらに言うと、世界でダントツの経済成長率を遂げているのは東南アジア諸国です。フィリピンを含むアジアの国々が経済成長を続け、一般の人の暮らしが豊かになっていけば、先進国に習ってコーヒーが多く飲まれていくはずです。

アジアのでのコーヒーマーケットがどんどん大きくなっていくにしたがい、今後コーヒーが生産できる国や地域には大きなビジネスチャンスが眠っていると思います。

 

–そこまで読まれて、フィリピンで始められたんですね!ちなみに、アジアのコーヒー豆のクオリティーはどうなのでしょうか?

たまたま、山岳地方の気候や風土に合った農産物を探していたらアラビカコーヒーに行きついただけなんですけどね。マーケットについては植えてしまってから考え始めました。植えたのだから、やはり販売まで面倒見ないといけないなと。そうしないと、せっかく植えた木を切ったり、燃やしたりしてしまうかなと。

昔は、アジアでコーヒーを輸出用に栽培している国はほとんどありませんでした。最近は、インドネシアのスマトラ島のコーヒーが美味しいと世界からも評価を得、アジアを代表するコーヒーとなっています。ベトナムも、ブラジルの次に来る産出国なのですが、品種がルブスタ種という低地でも育つおもにインスタントコーヒーに使われる品種が中心で、香味ではアラビカ種には及びません。

ほかにもタイ、東ティモールでもコーヒー栽培が広がり、品質もどんどん良くなっています。最近ではラオスやミャンマーでも輸出を想定したコーヒー栽培が始まっています。

今後、コーヒー市場におけるアジアの豆の競争も厳しくなっていくことでしょう。その中でフィリピン産の豆の特徴を出しながら、いかに輸出量を伸ばしていくかが課題です。山岳地方では大量のコーヒーの苗木を近年植えていて、生産量も今後、飛躍的に増えていくことが予想されます。農家の人ひとりひとりが品質の重要性を認識し、その向上に努めていくことが生き残りのカギだと思っています。

私たちNGOが指導しているコーヒー栽培はアグロフォレストリー(森林栽培)という手法で、環境保全に配慮し、森林伐採をしないでコーヒー栽培を進めています。もちろん農薬や化学肥料を使わない有機農法での栽培を指導しています。

生産するコーヒー豆の品質が向上し高い値段で取引されるようになり、栽培農家の収入向上につながることが、山岳地方の環境保全にもつながるのです。

スタディーツアー

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)で実施しているスタディーツアーの様子

第1回目の記事:フィリピンの奥地で温故知新教育、環境NGO代表、反町眞理子

 
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